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松江家庭裁判所 昭和39年(少ハ)2号 決定

本人 H・S(昭一九・一・二八生)

主文

少年を昭和三九年九月一九日から昭和四〇年九月一八日まで特別少年院に継続して収容することができる。

理由

少年は昭和三八年九月一九月恐喝、窃盗等の非行により松江家庭裁判所において、少年院送致の決定を受け新光学院に収容されたが、昭和三九年一月二八日満二〇歳に達し、同年九月一八日期間満了となるところ、少年の新光学院在院中の成績は、逃走企図、入墨、シンナーの無断持出等の反則があり、その都度謹慎に付せられたに拘らず繰返えされ、それが少年の自己統制力、持続力に欠ける性格に基因していたため、これが矯正は容易でなく、さらに同院に期間満了日から引続き一年六月の収容継続の必要ありとの同院院長からの本申請がなされた。

そこで、新光学院長朝尾滋作成の収容継続理由書、松江家庭裁判所調査官遠藤春夫の調査意見書並びに少年H・S、保護者母H・T及び同院法務教官西村長槌の各供述によると、少年には前記収容継続申請の理由に挙げられている反則行為が認められ、しかもそれが少年の性格に基因していることも認めることができる。故にその性格を矯正し、退院後再び非行を反覆させないためには少年の収容継続を相当と考える。

しかしその期間が仮退院後の保護観察期間を考慮にいれたとしても次の理由からして長きに失する。即ち少年は同院入院当初考査の結果二級以下に位置づけられ、その後再度に亘り二級上に昇進したが、その都度反則行為をなし二級下に降級され、昭和三九年七月二一日再三の反則行為のため遂に三級に降任されるに至つたが、前記少年、保護者及び法務教官の供述によると、少年はその後自己と同じ頃に入院した院生が仮退院することもあつて、自己の行動を反省し順次向上心をもつようになり、反則行為をなすことなく同年八月一日に二級下に復級し、その後の少年の生活態度からしてこの儘の良好な状態で進む可能性が極めて高く、又一方家庭の少年を受け入れる体勢は現在既に充分であるから、仮退院の保護観察期間を考慮に入れても、昭和三九年九月一九日から起算して向う一年昭和四〇年九月一八日までの収容継続期間をもつて充分であることが認められる。

よつて、少年院法第一一条第四項、少年審判規則第五五条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 山口和男)

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